
参政党による発信や活動に代表されるような極右系陰謀論を批判する書籍『陰謀論と排外主義』を巡り、2026年1月、著者陣の中に左派系の陰謀論者が含まれていることからXのウォッチャー界隈で論争が起き、炎上案件へと発展しました。
(問題提起の発端となったポスト) ▼▼
その論争は単なる書籍評価にとどまらず、「政治思想の左右」「ウォッチャーとしての姿勢」「誰をどこまで切り分けて評価すべきか」といった論点へと波及し、結果として著者の一人であり有名ウォッチャーでもある黒猫ドラネコさんが強く批判される事態に発展した事案です。
これは一部のX界隈ウォッチャーたちが、黒猫さんが左派系陰謀論者と論陣を組むことに納得行かなかった、という背景があります。
と言っても、「ノンポリ」を自称する黒猫さんは政治に関して詳しいわけではなく、”トンデモウォッチャー”として観察する範囲内に政治的な陰謀論が入り込んでいることから、政治にもある程度口出しせざるを得ないという立場にあるのです。
黒猫さんは参政党などの右側の政治思想と対立する機会が多いことから、自然と左派や反権力的な政治思想を持つウォッチャーと懇意にする機会が多いのですが、それは「反権力気質ゆえウォッチャーや活動家になる人が多い」という界隈特有の事情も作用しているためであり、黒猫さん自身はイデオロギーに染まる気は無いものの、周囲にそういった政治思想の持ち主が多いことをもって、特に極右層からは黒猫さんも「左側の一味」だとされる下地がありました。
※ 最初に断っておきますが、当サイトは黒猫ドラネコさんに敬意と好意を抱いています。(これは明確なバイアスなので隠さずに書いておきます)
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黒猫ドラネコさんはウォッチャーとして一貫して「権力に対して距離を取り、批判的に観察する」という姿勢を取ってきた人物です。本人も明かしているように、基本的に「政治家が嫌い」というメンタリティを持ち、与党・野党を問わず、権力側に寄り過ぎる言動には牽制を入れるスタンスを続けてきました。
その姿勢は、2025年10月に高市早苗首相がいわゆる「働いて働いて〜」発言をした際にも見て取れます。
このとき黒猫さんは、労務や労働環境に厳しい視点を持つ層、あるいはアンチ高市勢と重なる論調で、高市首相の発言に対して批判しました(同意見を複数リポストするなど含め)。それが結果として高市政権を支持する人々に対して牽制するようなムーブとなり、主に高市早苗盲目信者のネトウヨたちから「黒猫ドラネコはアチラ側(左翼)」だとばかりに非難されてしまいました。黒猫さんが嫌う”左右論法”というやつです。
黒猫さんはウォッチャーとして「権力に迎合しない」という姿勢を一貫して保ってはいたものの、本人がデマや陰謀論に踏み込むことは無く、”良心ある陰謀論ウォッチャー”という評価で人気を誇っていたため、その点から以前はこれと言って左派との繋がりを問題視されてこなかったように思います。(※極右層による評価は除く)
一方で、当サイトが左派系の陰謀論者を強く批判したり、選挙ウォッチャーであるちだいを陰謀論者として紹介した際には、黒猫さんから「党派性に囚われるのは良くないよ」といった趣旨の忠告やお叱りを受けることが何度かありました。それはウォッチャーとしての助言だったのだろうとは思いますが、当サイトが右派系の陰謀論者を強く批判しても同じような忠告をされることは一切無く、黒猫さん自身の政治的立ち位置や偏った人間関係を踏まえると「そのまま真に受ける必要はないな」と感じたのも正直なところです。
黒猫さんにとっては、自分と関係があったり共感を覚える人物を「陰謀論者」だとレッテル貼りされたり、おかしな言動をあげつらってネタにされることに関し、当サイトの発信を面白く思っていなかったようなのです。
つまり今回の炎上劇は、党派性に縛られたくない筈の黒猫さん自身が”関係性の罠”にハマっていることに無自覚だった、と言うこともできるのではないでしょうか。
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そして今回の炎上の直接的な火種となったのが、『陰謀論と排外主義』の共著者にちだいなどの左派系陰謀論者が含まれていたことです。「陰謀論者が陰謀論者を批判するのはどうなの?」という疑問や嫌悪感が噴出したのです。
ここで黒猫さんは普段からの付き合いや「反NHK党」という点での共闘関係もあってちだいを擁護する姿勢を見せ、まさか急に突き付けられた非難に対して自己防衛本能が働いて感情的になり、ちだいの問題点を指摘する声に対してはあまり耳を貸さない態度を取りました。
(度を越した批判に対して感情的に対抗する黒猫さん) ▼▼
(妥当性の高い批判リプライ連投を「フォロー外」「元投稿に無関係」という理由で非表示にする黒猫さん) ▼▼
左派系陰謀論者を嫌う層からすれば、黒猫さんによるこれらの対応は「玉虫色」「活動を共にするウォッチャー仲間に甘い」「一方の陰謀論者を擁護するのはダブスタ」と映り、強い失望を招いたのも無理は無いでしょう。実際、この件で黒猫さんのメルマガ登録を解除した人がけっこうな数いたようです。
で、今回の黒猫さんによる左派擁護の態度に関して当サイトがどう感じたかと言うと、黒猫さんの立場やビジネス的判断を考えれば、あの反応はある意味で当然だと受け止め、特に驚きや落胆はありませんでした。それは、アンチ参政党という立場にある黒猫さんを応援する層には左派系陰謀論者が多く含まれていることから、左派界隈におもねったり、刺激しないように振る舞う必要があることも理解しているからです。アイドルが気持ち悪いファンの存在を甘受する構造と同じように。
そのため、当サイトは黒猫さんが炎上する様子を距離を保ちながら眺めていたところです。
…とは言え、この件に関して当サイトも完全に無関係だったわけではありません。(どっちやねん)
炎上の最中、当サイトはちだいの過去の問題発言、福島第一原発のALPS処理水を「汚染水」と断じた件について解説する投稿を行ない、結果として炎上に薪をくべる側の役割を担っていました。▼▼
▲▲ これは、ちだいの「汚染水」発言への追及を避ける黒猫さんに対するアンチテーゼとして投稿したものです。
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さて、ここからが本題です。
『陰謀論と排外主義』の著者陣に左派系の陰謀論者が含まれているからといって、この書籍全体が「信用ならない」「読む価値が無い」と断じられるべきかと言えば、決してそうは思いません。
デマや陰謀論を口にする人物であっても、特定の分野や論点においては正しい指摘をすることはあり得ます。
例えば、極右系陰謀論者としてトンデモ発言を繰り返すようになった田母神俊雄であっても、自衛隊出身という経歴から、軍事に関してはマトモな見解を述べる場面があるのと同じです。▼▼
同様に左派系陰謀論者であっても、参政党の問題点を指摘する局面においては的を射た批判を行う可能性は十分にあります。
「陰謀論者だから、その人の言うことはすべて間違っている」と考えるのは、それ自体が短絡的で誤った態度です。
確かに「誰が言ったのか」は評価の上で重要な要素ですが、それと同時に、「何を言っているのか」という論旨そのものは切り分けて判断すべきでしょう。良いものは誰が言ったものであれ、良いとして受け取ればいいのです。
参政党が嫌いで、その問題点を知りたくて『陰謀論と排外主義』に興味を持ったウォッチャーの中には、ちだいらの名前を見て購入を躊躇した人も少なくないようです。
黒猫さんのことが好きで黒猫さんの記事を読みたいけど、
「自分のカネが嫌いな奴の懐に入ることに抵抗がある」
「黒猫さんの記事だけ買えないのか」
とジレンマを感じる人がいるのも人情としては理解できます。それ自体を否定するつもりはありません。むしろ十分に納得できます。
ただし、「左派系陰謀論者が書いているからこの本には価値が無い」と断じるのは、感情としては“正”でも、批判としては“誤”だと言えるでしょう。
公平性を失った評価は歪んだバイアスを生むだけです。
今回の炎上も冷静な批判を除けば、結局は「誰かを攻撃したい」という敵意帰属バイアスが強く作用した側面があるように思います。その構図は皮肉なことに、敵意剝き出しの陰謀論者がしばしば見せる態度と共通しています。
(陰謀論者は口が悪くなりがち) ▼▼
参政党や排外主義者が嫌いで、その問題点を指摘したいはずのウォッチャーたちが、炎上に便乗して感情的なムーブに走ってしまったのは非常に残念でした。
敵意は批判のエネルギーとして有効に機能する場合もあります。しかし、それに振り回されれば、冷静さを失い、行き過ぎた発言に繋がります。
感情を抱くこと自体を否定するつもりはありませんが、今回の炎上に乗じて過剰な発信をしてしまった人は、一度それを見返し、削除や訂正など何らかの形で整理して欲しいと思います。それが結果的には健全なウォッチャーライフに繋がるのではないでしょうか。
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補足しておくと、黒猫さんは「対参政党」というイシューにおいて左派系陰謀論者と手を組むことにはそれほどの抵抗感が無いどころか、むしろ『陰謀論と排外主義』の著者陣を打ってつけの好メンバーだと捉えているのです。それに関しては当サイトも異論は無いのですが、そもそも黒猫さんの理論ではちだいらを陰謀論者だと認識していなかったことが、当サイトや他のウォッチャーたちとの決定的な違いとしてあったのです。


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